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期外収縮について②~動悸の原因としての期外収縮
先日は健診で指摘された期外収縮について説明しましたが、動悸を訴えて来院される患者さんで期外収縮と診断される方もいらっしゃいます。今回は、動悸のために外来を受診されたYさんとの会話を紹介し、期外収縮への対応を説明したいと思います。
こんにちは。
今日は動悸がするため、受診しました。
こんにちは、Yさん。
動悸ですね。どんな動悸か表現することはできますか?「ドドドド」とか「ドドッドドド」とか「ドキッ」とか…どうでしょうか?
ん~、そうですね…
ふとした瞬間に「ドキッ」とする感じですね。胸がつまる感じというか、そのあと脈がぬける感じもあります。
なるほど、分かりました。
どの様な場面で多いですか?例えば、運動や歩行中に多いのか、安静時に多いのか?
あとは動悸はどの程度時間続きますか?
良く感じるのは夜ですね。寝ようと思ってお布団に入った時が多い様に思います。動いているときはむしろ気になりません。
持続時間はまちまちです。続くときは1分に1-2回くらいが5分くらい続くこともあります。少ない日は1回で終わることもあります。毎日というわけではなくて、1週間に2-3日ですね。
症状からは期外収縮が最も疑われます。正確な診断には症状がある時の心電図が必要です。24時間心電図(ホルター型心電図)で不整脈をとらえられれば良いのですが、起きない日もあるので、心電計を付けても症状が起きなければ、診断がつかないことも多いです。まずは不整脈の原因になるような心疾患の有無を確認しましょう。心疾患がなければ(心機能が正常で弁膜症もない)、不整脈であったとしても命にかかわるような不整脈の可能性はきわめて低いです。
心疾患の有無を調べる検査として血液検査と心エコーを行いましたが、共に異常は認められず心疾患の存在は否定的でした。運動時に症状が悪化する場合は狭心症などの虚血性心疾患が否定できないため、運動負荷心電図検査を行うことがあります。
Yさん、血液検査も心エコー検査も特に異常なく、心疾患の存在は否定的ですね。
良かったです!今後はどのようにすればよいのでしょうか?
経過観察の方針でよいと思います。もし、頻度が増加するようなら携帯型心電計やホルター心電図で検査してみましょう。
期外収縮はストレス、疲労、睡眠不足、飲酒、カフェイン摂取などで増加する傾向がありますので、可能な範囲でこれらの要因を避けるようにしてください。
期外収縮①でも記載したように、心室性期外収縮を含む不整脈がある場合はその原因となる基礎心疾患の有無が非常に重要です。背景に心疾患が存在する場合、心室頻拍などの致死性不整脈に移行する可能性があり、心疾患の精査・加療を優先する必要があります。
症状が強い場合や回数が多い時は心電計を用いて診断と不整脈の頻度の評価を行います。心電計は2種類あります。1つ目は携帯型心電計です(下図)。症状が出た時に心電計を手あるいはお腹に当てご自身で心電図を取っていただくことができます。毎日は起きないが、持続時間が長い時はこちらの機器を用いています。2つ目はホルター心電図です。クリニックで心電計を付けて帰宅いただき、24時間心電図を記録します。当クリニックでは症状が比較的頻回に起きる方で用いています。
今回は動悸のため受診され、症状から期外収縮が疑われた症例を紹介しました。今回の様に不整脈の頻度が少ない場合は心疾患がなければ経過観察としますが、症状が強い場合は心電計を用いて積極的に診断を行い、治療の要否を判断しています。動悸でお困りの方はご相談ください。